母と暮らせば

金曜日のレイトショーで「母と暮せば」を観た。 テレビ放映もされているのだが、私は観ていなかった。 井上ひさしが構想した「戦後命の三部作」のひとつ、原爆が投下された長崎を舞台にしたものだ。 映画化された「母と暮せば」は、山田洋次監督が井上ひさしにささげたオマージュである。 原爆で死んだ息子が現れ、まるで生きているか…
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「コリーニ事件」を読んで

久々に推理小説を手にしてベッドにもぐりこむ時の期待感は格別だ。 映画化もされた、フェルディナント・フォン・シーラッハの法廷もの「コリーニ事件」。 殺人事件の被告が動機について黙秘しているため、前半部にスリリングな展開はみられない。 後半に入ると俄かに進展を見せ、過去に遡って現代史の闇が暴かれる。 この辺り、少しで…
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母語という第二の自然 「日本語の教室」を読んで

日本人でよかったと思うことのひとつに、日本語が母語だというのがある。 千年以上も昔の源氏物語が、注釈と辞書さえあれば何とか読める。 「日本語の教室」の大野晋によれば、日本語はあまり変化を蒙っていない言語だという。 (本書に述べられている、日本語とタミル語の近似性は興味深い) 明治維新後、洋学を取り入れるにあたり、…
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住宅型有料老人ホームを選ぶ時注意すべき点は? 近況報告

実印を必要としたので、7月末に実家に帰った。 10日ばかりの滞在の後、ホームに帰参。 その間に、13室ある3階に新たな住人が入所されていた。 まだ現役の方で、お見かけするのは週末だけのようだ。 一年以上も、3階フロアのたった一人の住人だった私は、にわかに緊張した。 地下の共同浴室に行く時も、ラフな格好でシャワー…
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原爆記念日に読む「韓国併合」

75回目の原爆忌がめぐってきた。 75年といえば三四半世紀の膨大な時間が流れたことになる。 戦後に生まれ、折に触れ母の戦争体験を聞かされて育った私たち世代は、戦争は過去のものと思っていたが、実は社会・経済、そして何よりも人間心理に大戦の深い傷跡が残っている時代に義務教育を受けていたのだ。 教員室には、子どもたち…
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サル化する世界

外出自粛のせいで読書量が増えるわけではない。 ズームもあれば、「ゼロ・コンタクト」で仕事の一部を進行させることも不可能ではない。 そんな折、コロナ禍ゆえに確定申告の遅れが許されているのをいいことに、すっかり怠けてしまった。 試験勉強をよそについ本に手が伸びて、うっかりはまってしまう。 そんな経験は誰にもあることだろ…
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博打場で学ぶ「うらおもて人生録」

「麻雀放浪記」で名の知られた阿佐田哲也が別のペンネームで書いた著作である。 本書でも触れているように、著者がたくさんのペンネームを使い分けていたことはつとに有名である。 実家に積んどくしてあったのを、徒然なるままに手に取った。 名著という評判だったのに、なぜ今まで読むことなく過ぎてしまったのだろうか… 私にとって…
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吉本隆明著「夏目漱石を読む」

今、吉本隆明の著作に親しむ人がどれくらいいるか知らない。 ただ本書の対象となる夏目漱石は、まだまだ多くの人が口の端にのせる。 夏目漱石に普遍性があるのはひとつに、そもそも人間心理に不変の法則があるからだろう。 私も、大学進学が決まった、暇な春休みに漱石を読破する計画を立て、実際主な著作を読んだ覚えがある。 今思えば…
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新盆の供花

長年お世話になった主治医の奥様から礼状が届いた。 達筆の、男のような筆跡がいつになく乱れていて、悲しみのほどが察せられた。 最後の診察を受けたのが去年の4月。 その後休診が続き、病院側からの説明もないままに時が過ぎた。 当然あまりよい予感を抱くことはできなかった。 それにしても突然の訃報だった。 肝臓…
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「スタンド・バイ・ミー」を30年後に観て思うこと

ホームの上映会で、「スタンド・バイ・ミー」を観た。 私が過去に観たのは、劇場公開ではなく、テレビ放映によるものだったと思う。 線路上を歩いてゆく4人の少年の姿 それ以外にあまり強い印象が残っていないのはそのせいだろう。 一方、主題曲は身近なもので、少年期特有の切ないノスタルジーは今もって色あせることがない。 …
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モードの誘惑

仏文学者でバルザック研究者、山田登世子の「モードの誘惑」を読んだ。 「失われた時を求めて」が私の本棚で埃をかぶっている。 (時間の流れが源氏物語に似ているという説を発見したばかりだが) バルザックもだいぶ昔に読んで、その後フランス文学からは縁遠くなっていた。 本書は、著者の死後、様々な媒体に掲載された、モードに関…
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おしゃれ泥棒 モードとラブコメディのアイコン オードリー・ヘプバーン

先週の金曜日のレイトショーでは、「おしゃれ泥棒」が上映された。 開演は19時と遅いため、観客は二人という贅沢さ。 それも最後まで観ていたのは私だけだった。 老人ホームでの上映会は、やはり昼の時間帯にすべきかもしれない。 「おしゃれ泥棒」といえば1966年に公開されている懐かしい映画。 ヒロインのオードリー・…
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古典は言葉のタイムカプセル 竹取物語を読む

「竹取物語」を読む。 子供の読み物としてリライトされ、引用され続けてきて、知らない人はいないと思われる「ふるものがたり」 さやさやと葉擦れをさせて、一陣の風にしなやかに揺らぐ竹林の一隅、竹の一節に小さな姫が眠っている。 その竹は、発光して、辺りをぼんやりと明るく照らしている。 私の読んだ竹取物語は、角川ソフィ…
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紫式部すまいを語る 王朝文学の建築散歩

平安時代は温暖化していたらしい。 家の作りやうは、夏をむねとすべし、 鎌倉末期にまとめられたとされる徒然草にはこう述べられている。 さらに 冬はいかなるところにも住まる、暑き比(ころ)わろき住居(すまい)は、堪へ難きことなり(徒然草第五十五段) 現代の日本に住む私たちも、冬は着込みさえすれば何と…
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紫式部の暗号

源氏物語を気象という切り口で読み解く、興味深い書物。 帯のキャッチコピーに、紫式部は平安の気象予報士だった、とある。 気象予報士の著者は、物語の文学的かつ抒情的な記述のなかに、気象科学的な裏付けを探り、さらに味わい深い読み方を教えてくれる。 当然のことながら、平安時代の人々、それも稀有な観察力と構成力、心理描写…
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花が届く

毎週金曜日にダンディライオンという花屋さんから、素晴らしい花のアレンジが届けられる。 アレンジのセンスには、さすがプロと唸らせる斬新さがある。 またそれ以上に、今まで見たこともないような珍しい花材が魅惑的だ。 ロビー中央に飾られた今回の投げ入れ フォーカルフラワーは、薄紫の「大輪」のアジサイだ。 正確には大…
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光源氏が愛した王朝ブランド品

本書は、平安時代の「ブランド品」から源氏物語を解読する趣向。 当時の王朝人の美意識があぶり出されることになり、現代のブランド志向と比較してみると、なかなか面白い。 そもそもブランドという言葉は、資本主義社会、大衆社会におけるマーケティング用語なので、王朝人が愛した贅沢な舶来の希少品と全くのイコールではない。 しかし…
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大学病院で眼底の精密検査を受ける

眼底の白斑は、血管が詰まっているせいかもしれない… S坂に開業する眼科の先生は、造影剤を入れて調べてみる必要がある、という。 「なるべく早く」と促されると、病院嫌いの私でも、さすがに近日中に検査しなくてはという気になった。 そもそも眼科に通うようになったきっかけは、飛蚊症とかすみ目なのだが、目だけは看過できなかっ…
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源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり

平安時代は資料が豊富に遺されているわりに研究の進んでいない分野だという(保立道久著「平安王朝」) その理由は、この時代が6世紀から奈良時代までの古代史研究と、鎌倉時代につながる院政時代の言及にとどまる中世史研究のはざまに位置しているからだといわれる。 折口信夫は、源氏物語の時代における宮廷の力が一般に思われほど大きく…
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エノラ・ゲイを見た人

夕方から降り始めた雨が、猛然と屋内に吹き込むようになった。 稲妻が断続的に瞬き、深夜近くには地震もあった。 考え事をしているうちに眠れなくなり、いつしか時計は一時を回っている。 昨夜は、入居者のお仲間とおしゃべりするうちに長談義となった。 その話が頭を離れず、思いを巡らすうちにすっかり目が冴えてしまったのだ。 入居して一…
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毎週金曜日に、ダンディライオンから花のアレンジ3種が届けられる。 花材の珍しさとアレンジのセンスに、思わずため息が漏れてしまう。 遺伝子工学などのバイオテクノロジーの成果だろう。 カーネーションやバラにも、今まで目にしたことのないような色や形が見られるようになった。 人工の自然と呼ぶべきか… 珍しいとい…
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住宅型有料老人ホームの使い方

見学や一日二日の体験入居では、分からないことがたくさんある。 10か月くらいから季節を一巡するホーム暮らしを経て、ようやく見えてくる老人ホームの現実。 経営組織の姿勢や、介護に対する考え方と、利用者(入居者)側の要望との間には、多少とも乖離がある。 社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームは、本来福祉的施設だが昨今、収入によっ…
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2週間ぶりに ホームへ帰還

緊急事態宣言が解除されてはじめての土曜日、2週間ぶりにホームに帰還した。 東京から神奈川へ、と多摩川を越える。 他県ナンバーが目につく。 同調圧力に弱い国民性なのか 生活に困窮しても自粛するのは、危機感の強さというより、右へならえの姿勢からか。 気が緩むのも、みな一緒というのはどうか… 結果的に第一波は何とか…
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一年が経ちました 住宅型有料老人ホームでの日々

昨年5月の引越しから早いもので、一年余が経ちます。 竹林の葉がはらはらとデッキに散る、竹の秋でしたが、季節は一巡しました。 まさかこのような新型コロナ禍に見舞われるとは思っていませんでしたから、心機一転、新しい土地・環境に順応して、新たなライフ・スタイルに着地するはずでした。。 ところが、新ウイルスの登場で、生活の変化…
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源氏物語の女性たち

源氏物語研究で多くの功績を残した秋山虔の「源氏物語の女性たち」を読んだ。 先週の土曜日、ズームミーティングで助川幸逸郎先生の講義が行われ、録画されたものをYou tubeに公開したということで、主催者からURLが送られてきた。 (ありがとうございました) 講座は「橋姫」の巻。 講座が開かれているN市では、公民…
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人はなぜ「美しい」がわかるのか

昨年亡くなった橋本治が、60代半ば過ぎに書いたこの本を読み終えてみると、これもまた遺書の類かもしれないと思う。 私にとって、橋本治は団塊世代の先輩といった位置づけだ。 本書は難しい美学の本などではない。 美しい!と感じる瞬間は、幸福な生活実感から生まれる、ということが、繰り返し述べられる。 古典でいえば、生活実感…
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新型コロナ禍さなかの情報リテラシーとは

2月からタクシー以外の公共交通を利用していない。 ゆうれい会員になりそうなところ、源氏物語講座はズーム・ミーティングで遠隔授業に参加することができた。 ホーム(住宅型有料老人ホーム)ではスタッフを含め皆が、自室以外ではマスクを装着している。 館内でも、互いに話す時は、しぜんと距離をとるようになった。 朝会で、当番のスタッフか…
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これで古典がよくわかる

著者の橋本治は、昨年亡くなったばかりだ。 作家として72歳という年齢からもまだ早かったし、ショックというよりとても残念だったことを思い出す。 私にとっては、「桃尻語訳 枕草子」が画期的な著作となった。 以来、古典が身近に感じられるようになり、古典のハードルを低くした功績は見逃せない。 古典がマンガで描かれるように…
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『源氏物語』と『枕草子』謎解き平安ミステリー

寿ケレバ則チ辱多シ 長生きすれば辱(はじ)も多い、という言葉が、明石の尼君、桐壺更衣の母はじめ源氏物語に登場する女性たちの口から、深いため息とともに漏らされる。 典拠は荘子の中の一節である。 清少納言が仕えた中宮定子は25歳という若さで没したが、その晩年は悲惨だった。 藤原一族に生まれた定子は一条天皇に入…
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平安王朝史を読む

源氏物語が面白くなってくると、さらに深掘りしたくなって、本書を手に取った。 平安時代は400年という長きにわたっており、残された資料も多いわりに、王権の通史としての研究が進んでいない分野なのだそうだ。 「同時代の世界史のなかでも異様といえるほど史料にめぐまれた時代」という。 一方、ある時期から「読まれざる古典」となり、…
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