ホームの日常

世界中から異常な猛暑のニュースが届く。 ホーム内にとどまる限り、節電に努めねばならないにしても、今のところ高温多湿に苦しめられることはない。 朝7時半、窓を開けると、今日一日の湿度の高さを告げるような空気を感じた。 けれど、デッキで食事をとることにする。 スタッフが早速クッションンをセットし、パラソルを掲げてくれ…
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元首相の死を悼む

安倍晋三の評価は分かれるところだ。 いずれ歴史が判定を下すことになるのだろう。 リーダーシップと求心力で政界を束ね、自民党の大黒柱であったことは確かなようだ。 死者をむち打つことを避けるのは道義なので、今のところ元首相の死に対する悔みとテロリストへの批判が言論の中心を占めている。 最初ニュースに接した時、正直、なぜ安倍晋三が…
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ホームで迎えた七夕

ホームで迎える七夕は、入院中を除くと3度目。 笹飾りに「みんな仲良く」の短冊が目立ちます。 お昼は特別に「七夕そうめん」 料理長の盛り付けは、おのずと、牽牛織女の逢瀬を願うように優しげです。 短冊に描かれたマルちゃんことオカメインコの姿態の愛らしいこと。 盛り付けのセンスは、料理長の絵心の表れでしょう。 …
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身にしみる読書 「椅子がこわい 私の腰痛放浪記」夏樹静子著

夏樹静子は多作なミステリー作家で、若い頃、仁木悦子などとともに、ほんの時間つぶしに読んだ覚えがある。 慶応大学在学中に脚本家としてデビューし、当時の流行作家ぶりから知らぬ人はないだろう。 その人の壮絶な「闘病記」 新潮文庫で重版されているが、私は文春文庫版で読むことになった。 あちこちの医療機関を受診しても、器質…
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近況報告を兼ねて、老人ホーム考

エレベーターホールでばったり、隣室のMさんに遭遇。京土産に「みなづき」を頂いて、ホームのお仲間、スタッフ、家族の無病息災を祈りながら食べる。 「ここへ帰って来るとほっとします」 というMさん。 私も帰ってくるたびに同じ感想を抱く。 私が60代でこちらのホームへの入居を決めたのは、実は出来心ともいえる偶然からだ…
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ムーミン全集

本が大衆的に流布したのは大正末年頃からだ と、関川夏央は「文学は、たとえばこう読む」の冒頭に述べていた。 あろうことか、私の入院中に、妹から連絡があり、母が骨折したという。 よくある大腿骨転子部骨折である。 保存療法を避け、手術に踏み切った。 幸いなことに高齢にもかかわらず術後も順調に経過した。 リハ…
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文学は、たとえばこう読む —「解説」する文学Ⅱ

関川夏央による本の紹介には定評がある。 文庫本には必ず巻末に解説が載る。 その解説の劣化が激しいというのが、著者の感想である。 その原因は、1970年代半ば以降の文庫本の大量生産にあるという。 もちろん、書評と解説は少し違うが、いずれも「やや辛気臭い」仕事、「報われなさ」は変わらないものだろう。 井上ひさし…
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近況報告 ついに食費が値上げになりました

諸物価高騰の折、わがホームでも7月から食費が上がることになりました。 月間メニュー表を見ては、厨房の苦労が思いやられてきましたが。 最近、昼食には献立が二種用意され、選べるようになりました。 それでも利用者はなかなか増えない様子です。 私は、食事が美味しいことを条件のひとつとして、このホームに入居しましたので、…
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カササギ殺人事件

悲しいニュース、不如意な日常、… 鬱々と楽しめない日には、ついミステリに逃避したくなる。 書かれていることは、罪と罰にかかわることなのに、それが架空の物語となると俄然”癒し”の効果を発揮するのは何故だろう。ミステリの「謎」だ。 内容が殺人事件であるのはミステリ共通のものなのに、何故かその内容が意に添わないとか、…
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過去ある女 ープレイバックー

レイモンド・チャンドラーには、7作のフィリップ・マーロウものがあるが、本作は小説「プレイバック」に先立ってシナリオとして書かれたものだ。 チャンドラーの小説がそもそも映画的であり、情景や会話が人物描写とともにヴィジュアルに立ち上がってくるのが魅力なのだ。 わざわざ最初からシナリオとして書かれたのはチャンドラー自身が映…
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遺言がつなぐもの 「ゴルフ場殺人事件」

家庭裁判所から遺言があるとの知らせを受けとった。 昨年4月親しい友人を亡くしてから、間もなくのことである。 喪失感も未だ実感されず、隣人として相変わらず心強い存在であり続けているような気がするのだ。 生前の思い出が、ことあるごとに新たなメッセージとなって蘇るのは死者もまた「生きている」証拠である。 妹さんから連…
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「高い窓」 入院と読書

読みかけの「大いなる眠り」をあわただしく荷物に放り込んだのは、昨年1月入院しようという日だった。 Deathを意味するBig Sleep 縁起でもない、と苦笑いしながらも、難しい手術ではなかったので気にならなかった。 結局、思いがけず約一年という長期の入院生活を送るはめになった。 そして退院した今、同じレイモ…
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ホームへの帰還

一年近くになった入院生活を終えて、ホームに帰ってきました。 ブログもずっとお休みしてしまいました。 最初2週間と言われた入院がこんなにも長期に及んだのに訳があるのは当然です。 当事者として追々お話できることもあるでしょう。 手術の内容は、股関節の再置換手術というものでした。 主治医は私のレントゲン写真を見ながら…
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さくら坂のソメイヨシノは一分咲き

一日で大分開花した。 明日から入院準備のため実家に帰るので、満開の花をこのさくら坂で見ることはできない。 野暮用のついでに、坂を下った。 一昨年は、友人と皇居の外堀沿いを歩いたことを思い出した。 神楽坂で飲むのが目的で花見は口実のようなものだった。 ついこの間のことなのに、すでにコロナ以前が懐かしい… ソメイ…
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春到来 ホームより近況報告

えらくなんかなりたくない それが、昨今の若者から聞かれる、珍しくない職業観、生活信条ではないだろうか。 名ばかり店長、名ばかり管理職… トップダウンの命令に唯々諾々と従いながら、報酬は果たしてその激務とストレスに見合ったものだろうか… 人生の喜び、仕事の醍醐味、余暇の充実…とは何だろうか。 過去の価値観に疑問符を…
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「暴君—シェイクスピアの政治学」を読む

権力が庶民にとってほど遠いものであるからこそ、「権力」の魅力は謎であり、永遠の政治的課題であるように思う。 文学や演劇を通して、読者や観客が権力の極北に位置する「暴君」に魅せられるのはなぜだろうか。 シェイクスピアはそれを洞察していたがゆえに、リチャード三世、ジュリアス・シーザー、マクベス、リア王、その他の作品を書いた。…
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「お母さん、ノリコ平気よ!」 大村典子さんに学ぶ

「次の手術」に備えて、リハビリの欠かせない毎日だ。 リハビリといっても、自然体で、できれば楽しく実行したいと思う。 でなければ続かない。 リハビリに限らず、日々軽い運動を日課に組み込み、習慣となればしめたもの。 ホームの入居者であるOさんから、「大村典子のイキイキ音楽体操」というのを教えられ、CDを聞いてみた。 …
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近況報告 ホームに帰還して

退院後、実家に滞在している間に、新しいパソコンを据え付け、設定から何からいとこにしてもらった。 パソコンは富士通のサイトから型落ちしたものをカスタマイズした機種を注文した。 パソコンの無い生活はいっときでも、もう考えられない。 コロナによるリモートワークの広がりをみても、これからは「非接触」がキーワードになるだろう。 …
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リハビリは片手間ではできない

変形性股関節症で人工関節置換術を受けてから4週間近く経った。 今日もホームの廊下を行ったり来たり、インターバルをとりながら、ふつうの歩行に加え、横歩きや太ももを高く上げての歩行を繰り返す。 戸外でのウォーキングははるかに疲れるので、自信のない時は、廊下での歩行や自室での筋トレ、スクワットにとどめておく。 ホームのナース…
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映画「ミッドウェイ」を観て

コロナ禍のなかで、映画館や美術館に行く習慣をすっかりなくしてしまったので、居ながらにして楽しめる上映会はありがたい。 ホームで、以前からスタッフにリクエストしていた「ミッドウェイ」が上映された。 日米公平に描かれている、と定評のある本作品。 映画的には、VFXを駆使した航空戦のリアリズムに圧倒された。 映像の面白…
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大いなる眠り

よくよく考えて準備したつもりでも、いざ入院となると、とるものもとりあえず、あたふたと病院に駆け込むことになる。 何も用意せずともレンタルで間に合う昨今。 身内の面会さえままならぬのであれば、却って家族を煩わせることもない。 コロナへの警戒から、病院は今までより以上に除菌・衛生に気を遣っている。 一方、医療体制の逼迫か…
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老いをみつめる 老人ホームの日常

X氏がA氏に、私が遭遇する限りでは、2度目の談話を試みている。 「ところで、奥さんはどうされました?」 「まだ病院です。面会ができないので」 昼下がりのダイニング・ルームでこんな会話が交わされる。 実はA氏の奥様は、昨年すでに他界されている。 A氏の意向で、ホームの住人には敢えて伝えられないままだ。 風聞…
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老いをみつめる

老人ホームで生活するということは、紛れもなく老いを見つめつつ、自分に残された時間について考えることだと誰しも思うだろう。 ところが、日々は人間臭い出来事を満載しながら、無自覚に流れてゆく。 若いTさんは、まずは介護福祉士の資格を取るために勉強中だ。 一方、仕事は仕事で、待ったなしで種々の介護とサービス、環境整備とい…
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さらば愛しき女よ

村上春樹訳の「さようなら、愛しき人」(レイモンド・チャンドラー著)を読了まで30ページほど残したまま、旧訳(清水俊二訳)の文庫本をカバンに入れてタクシーに乗った。 実家と往復していると、リモートワークの難しさが推測できる。 二か所に分散した資料の双方が必要な場合、まだペーパーレスに完全に馴染んでいない社会で仕事を完遂…
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シチリアのワイン

希少な、シチリアのワインをご相伴させて頂いた。 隣室に入居されて間もないMさんは、フィレンツェ滞在一年の経験もあるイタリア通だ。 お仕事柄、料理にも精通しておられる。 そのMさんが御馳走して下さったのが、「ミッレ エ ウナ ノッテ」 1月3日夕食のメニューはステーキだった。 メルシャンで販売されるチリワインで十…
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X氏の繰り言

年越しそばを食べていると、すぐ前の席のX氏が帰り支度をはじめた。 私は、もくもくと蕎麦をすすり、X氏と目が合わないようにしていた。 というのも、X氏は話好きな上に、その内容が限りなくリフレーンするという「癖」を持っているからだ。 入所者はそれを知って、関わり合いを持ちたがらない。 X氏もその空気を読んで、スタッフ以外には…
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頌春 行事食

あけましておめでとうございます 山形から到来した啓翁桜が咲きました。 前日活けられた時はまだ蕾だったのに… 大晦日の朝のことでした。 疑似的に冬を体験させた桜は、温室の暖かさに春が来た!と勘違いして早々に芽吹いてしまうようです。 一足早く春を届けてくれた桜花が、新型コロナの克服を予兆するものとなりますように! …
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ステイホームで年賀状を書く

年賀状の売れ行きが好調だったという。 駅の改札前で、郵便局員たちが寒そうに足踏みしながら出店しているのは、いつもの歳末風景だ。 今年はステイ・ホームの影響か、年賀状を通じて、旧知の仲とふれあいたい。 そんな思いで、簡便なメールよりも年賀状を選ぶ人が増えたのかもしれない。 私も、今日こそはと思い、年賀状作りにいそし…
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クリスマス・ディナー ホームでイブを迎える

メニュー表を眺めながら、やはりクリスマス・ディナーに間に合うよう帰ろうと思った。 ホーム料理長十八番のフレンチを逃すのは残念な気がしたからだ。 例年だったら、忘年会など会食の多い季節。 人と会うのに食事を共にすることがいかに多いか、新型コロナによって改めて痛感する。 ホームでの内輪の食事会なら安心だ。 …
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さよならの儀式

何度足を運んだことだろう。 こと美容室と歯科医院には浮気をしない質だ。 多分300回近く、このドアを開け、店長の笑顔に出会った。 当初はシャンプー専門の女性がいて、予約もとりにくかった。 男性二人が、それぞれの顧客相手におしゃべりしながら、マイペースでつかず離れず、仕事をしていたこともあった。 美容師はいつか自…
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