「西洋の敗北」を読んで 著者は、ソビエト連邦の崩壊を予測した学者として知られる。 本書はウクライナの戦争について論じられているが、人口動態をはじめ各種データを分析する手法が全編にわたって用いられ、客観的視点を導入している。 ウクライナよりの報道が多いなかで、ロシアに有利な意外な事実も明らかにされる。 西洋の衰退が何に起因するか、については… コメント:1 2025年02月21日 読書 歴史 続きを読むread more
素晴らしい!患者権利章典 長文注意! 人工股関節の再置換術を受けてから約3年10か月が経ちます。 結果は必ずしも満足のゆくものではなかったのですが、私自身がそれを認めたくないのと、リハビリに期待する気持ちが相半ばし、敢えて問題点を探ることから目を背けてきたような気がします。 ときおり手術を行った都立病院のサイトを閲覧し、あきらめと不信の間を揺れ動きました。 持論と… コメント:2 2025年02月13日 エッセイ 続きを読むread more
雛遊び この歳になると、ひな人形に対面してきた過去の風景のあれこれがふとよみがえる。 徳川家の雛、三井家の雛、地方の旧家の雛、…etc. 鄙びた農家の縁側で、そして 周りの空間をつるし飾りがびっしりと埋め尽くし、華やかな魔除けのバリアに守られた雛たちもいた。 京都は仏像制作の工房で、イタリアの有名ブランドも感嘆したという、鮮… コメント:0 2025年02月12日 生活 歴史 続きを読むread more
詩一篇 私のなかの孤立無援の友へ 手を差し伸べてくれる人がいる 苦しみに果てがないように思われる時でも きっと助けてくれる人がいる 脱出口が見えず 迷いに迷って行きなずんだ時でも わずかな明かりが前方から差し染める 背中を押す力にふとうろたえて 涙が頬を伝う 同じように悩む友の姿があった 並んで歩きながら 言葉もなく、溢れる涙を拭うこ… コメント:0 2025年02月07日 続きを読むread more
憂鬱な季節 レモンの香に癒されて 昨年は数えるほどしか生らなかったレモンが、今年は5キロ近く収穫できました。 およそ一個250gの大きなレモンです。 妹はすべてマーマレードにすると張り切っています。 一つぐらいはフレッシュなうちにはちみつ漬けにしてほしいのですが。 樹上で熟成してくると、オレンジに色づき、レモンではなく他の柑橘類のように見えます。… コメント:0 2025年02月05日 食 本 続きを読むread more
いのちを支えるスープ 著者の母である辰巳浜子さんの「娘につたえる私の味」は長らく私の参考書だった。 辰巳芳子さんの方は、だいぶ昔になるが、朝日新聞の連載でエッセイの達人であることを知った。 スープ教室は希望者が多く、なかなか入れない、と聞いている。 クリスチャンであり、科学的哲学的な思考は、料理に対しても発揮され、時に難しく、時に求道的… コメント:0 2025年02月02日 料理 エッセイ 食 続きを読むread more
料理エッセイをつまみ食い たかが目玉焼き、されど目玉焼き 料理研究家の上野万梨子さんの本を久々に手に取った。 パリという都市の名が、圧倒的に魅惑する磁力を帯びていた時代。 ファションはまずパリが発信元だった。 少なくとも半世紀前までは、パリの名は特権的な地位を占めていたように思う。 農業国のフランスはグルメの国でもあり、上野さんはコルドンブルーに学び、パリ滞在はすでに3… コメント:0 2025年02月01日 料理 エッセイ 食 続きを読むread more
輝ける人生 ホームのミニシアターにて ホームの上映会で「輝ける人生」を観ました。 35年連れ添った夫の浮気現場を目撃してしまったサンドラ。 冒頭部分にあり得ないはずのシーンを見て驚愕する表情が映し出され、それから彼女の人生は変わってゆくのです。 こんな事件でもない限り、人生の舵は大きくは切れないでしょう。 一般に辛抱してなんとか折り合いをつけて結婚生… コメント:0 2025年01月28日 エッセイ 続きを読むread more
「詩を読む人のために」 誰かもいったように、詩を読み詩を愛する者は既に彼が詩人だからであります。 と三好達治は、冒頭の前書きで述べています。 本書を読んだ後で、石川啄木の歌を思い出しました。 小樽の町はずれから高台に上ると、かつて祠でもあったらしい小公園にたどり着きます。 草生したその一角に、忘れ去られたかのように一基の歌碑がぽつん… コメント:0 2025年01月26日 読書 エッセイ 詩 続きを読むread more
一年後の通院 ホームのナースに同行してもらいました 医師の一言一句に患者は過敏に反応するものだ。 老練な医師であれば、そのことを十分に弁えているはずなので、患者に向ける言葉を慎重に選ぶだろう。 患者が求めるのは希望である。 わずかの言葉尻をとらえて、明日への希望、生きてゆく糧になるだろうかと反問し、言葉の意味を正確に求めようとする。 ホームのナースの同行を求めて、手術した病院… コメント:0 2025年01月24日 エッセイ 続きを読むread more
ベイジル・ラスボーン版 シャーロック・ホームズ 死の真珠 ホームの上映会でベイジル・ラスボーンのシャーロック・ホームズを観た。 1944年の「死の真珠」だ。 原作はコナン・ドイルの短編「六つのナポレオン」である。 第二次世界大戦中に制作された作品で、日本では劇場公開されず、テレビ放映の記録もないという。 そのせいで本シリーズにおける、ホームズ俳優としてのラスボーンの知名度は… コメント:0 2025年01月22日 ミステリ 続きを読むread more
サヨナラダケガ人生ダ サヨナラダケガ人生ダ 歳を重ねるにつれ、この言葉の意味が痛切に感じられる。 年賀欠礼のハガキが、年賀状を交わしていた人からではなく、娘さんや息子さんから届く。 高齢社会では別れが多い。 家族葬が終わってから訃報を耳にする。 最後のお別れができぬままに、友人は旅立ってしまったのだ。 独居だった故人の家に電話をかけて… コメント:0 2025年01月20日 詩 続きを読むread more
三好達治随筆集を読んで 中野孝次の編集になる「三好達治随筆集」を読んだ。 堀口大学が「あまりに大きすぎる、複雑すぎる、多方面すぎる」と評した三好達治の世界。 詩人の眼が、詩人の心が、小動物や植物、海山などの自然、市井の風物、人の動静、…をいかに精緻に奥深く、謎をはらみつつ捉えていたか。 正確、端正、脱俗、高雅と称えられ、難しい語彙が散… コメント:0 2025年01月18日 読書 エッセイ 続きを読むread more
春よ来い 相馬御風さんのこと 1. 春よ来い 早く来い あるきはじめた みいちゃんが 赤い鼻緒の じょじょはいて おんもへ出たいと 待っている 2. 春よ来い 早く来い おうちのまえの 桃の木の 蕾もみんな ふくらんで はよ咲きたいと 待っている 上記の童謡はよく知られ、歌われてきたが、作者まで知っている人は意外に少ないのではないだろうか。 … コメント:0 2025年01月17日 エッセイ 続きを読むread more
美味あり 仲間あり 顎関節の可動域が狭くなった。 「孤独のグルメ」の松重豊を観ていて、うらやましくて仕方ない。 役者は、食事シーンを、とてもきれいに演じている。 なかなかこうはうまくはいかない。 松重豊の場合、パカッと大きく口を開けると、箸に挟まれた食べ物が、少しも唇に触れないまま、口腔に送り込まれる。 ふつう多少とも唇を食品で汚してしまうの… コメント:0 2025年01月16日 食 エッセイ 続きを読むread more
時代とともに変容する詩の言葉 詩の言葉は、時代とともに異なった意味を帯びてくる。 万葉など和歌の世界ではそれは当然のこととして、空想をはばたかせ、異次元に遊ぶ心地も楽しみのひとつだ。 それが現代詩となると、まだいくらも歳月を経ていないのに、以前読んで心揺さぶられた詩にもはや感動しなくなっている自分に気づき、ショックを受ける。 詩人没後、そのように語… コメント:0 2025年01月14日 本 読書 エッセイ 続きを読むread more
「国民の違和感は9割正しい」を読んで 政治、経済、AIなど、門外漢でも、現実世界の表皮に触れた時感じる違和感が必ずしも的外れなものでないと著者は主張している。 日々報道されるニュースは、まず起きたことを伝え、その原因、真相、隠された意図にまで言及しない。 事件はまだ起きたばかりで、以後の取材から全容が知れるのは先のことになるかもしれない。 また長い間解決し… コメント:0 2025年01月11日 読書 エッセイ 政治 続きを読むread more
2025年を占う 食卓の小さな丸テーブルに、瑞々しいガーデンシクラメンが飾られていた。 正月三が日が明けて、一輪挿しの千両が消え、花好きの職員の出勤を告げていた。 ガーデンシクラメンは繊細で強靭。 霜に強く、長い間咲き続ける、私の大好きな花だ。 そこに花があり、活けかえてあれば、職員の動静を知ることができる。 花を見ていると… コメント:0 2025年01月09日 読書 花 エッセイ 続きを読むread more
過剰医療の構造 年末年始を挟んで1か月を自宅で過ごした。 97歳になる母が、私よりはるかに元気そうに見えるので、とりあえずほっとした。 (因みに母は全く薬を飲んでいないし、定期健診以外まず病院にかかることもない) 認知症も踊り場にあるようで、コミュニケーションに決定的不具合が生じることもなく、正月はのんびり、まったりと呑気に送ることができた。 … コメント:0 2025年01月05日 本 読書 エッセイ 続きを読むread more
謹賀新年 2025年 あけましておめでとうございます 旧年中はお世話になりました。 今年もどうぞ宜しくお願いいたします。 おみくじで凶を引いたら、これ以上底はないだろう、と却って安心するような 不幸と悲劇の続いた2024年でした。 今年はどんな年になるのでしょうか… というより平和で穏やかな日々をつくっていかなければ、と覚悟し… コメント:0 2025年01月01日 新潟 食 続きを読むread more
かまぼこやのあやちゃのこと 母の思い出話から あやちゃの家は国道をはさんで、S子さんの家の筋向いにあった。 かまぼこ製造を生業とする家だ。 当時70軒以上あったというかまぼこやが、今ではあやちゃの家、1軒だけになってしまっている。 S子さんの記憶の中で、あやちゃの思い出はとても大切なものだ。 それは97歳になるS子さんが、同じ話を、飽きもせず何度も繰り返すのでよくわ… コメント:0 2024年12月29日 旅 本 続きを読むread more
厄除け詩集 多事多難な一年でした。 せめて今日一日、何とか無事に送れたことに感謝したい。 そんな日々が積み重なって、2024の年の暮れも押し詰まりました。 「厄除け詩集」 この時期、まさにうってつけの一冊だが 「詩人」と言われることをたいそう喜んだという井伏鱒二にしては、全作品が収録された詩集の分量はずいぶん少ない。 … コメント:0 2024年12月27日 読書 エッセイ 続きを読むread more
致しません 「リハビリできる病院を紹介していただけないでしょうか?」 致しません。自分で探してください。 「手術中に起きた複数個所の骨折についてご説明願えないでしょうか?」 ・・・・・(致しません) 「QOL(生活の質)の低下は予測できなかったのでしょうか。予測できたとしたら、なぜ敢えて手術に踏み切ったのでしょうか。教えてくださ… コメント:0 2024年12月25日 エッセイ 続きを読むread more
ゆず湯に入ったのは何年ぶりだろう? 毎年、雑木がすっかり落葉したころを見はからって、植木職人がやって来る。 今年は4人の青年が訪れ、チェーンソーで一気呵成に剪定、草刈、伐採物の処理を行って、すっかりきれいにしてくれた。 去年は8人が大挙して1日で仕上げたが、今年は人数が少ない分、1日半かかった。 それにしても若者たちの仕事は早い。 造園業の跡継ぎが減る… コメント:0 2024年12月23日 生活 自然 続きを読むread more
ますよむさのじいちゃの藁草履 母が2泊3日のショートステイで介護施設に出かけた。 留守宅を預かる家族は、鬼のいぬまの洗濯とばかり、時間を気にせず外出して雑用を足すことになる。 ふつうに会話できているようでも、時に思いがけない物忘れに唖然とさせられる。 まず家族や親族の関係が、彼女の頭の中では一体どうなっているのだろうか? と訝しく思わせられるほどの混… コメント:0 2024年12月22日 生活 続きを読むread more
「死亡退院 精神医療・闇の記録」 NHKスペシャルより 年末年始を実家で過ごすことに決め、生活リハビリと称し、家の中の片づけでもしようと思った。 毎度のことだが、一向に身体が動かない。 年明けの一月に執刀医の予約が入っているので、その際に聞くべきことを考えると何も手につかず、焦燥感と不安ばかりがつのる。 手術後の3年8カ月余、未だに落ち着かない状態が続いているのだ。 再手術を余儀… コメント:0 2024年12月15日 エッセイ 続きを読むread more
食の力 ホームの食事がセントラルキッチン方式になってから、変わってしまった。 内容が悪くなったという声があちこちから聞かれる。 当初は、食材費・光熱費とも値上がりしているから仕方ないのかと諦めていたが、そのうち明らかに材料が乏しくなり、メニューのバリエーションも少なくなった。 次第にダイニングで食べる人が減り、3人だけということもあっ… コメント:0 2024年12月04日 エッセイ 食 続きを読むread more
明治・大正・昭和の文壇史を読む 正宗白鳥を読む 一見、淡々と心穏やかに生きているように見える人にも心の闇、それを話すぐらいなら死んだ方がまし、という過去があるかもしれない。 白鳥が軽井沢に住んでいる時、東京の中央公論社を訪ねて、リュックを逆さに背負って歩いているのを見かけた人がいる。 何ともとぼけたおじさんだ。 それでも人の心というものは分からない。 正宗… コメント:0 2024年12月01日 読書 エッセイ 続きを読むread more
「なぜヒトだけが老いるのか」 老いを前向きにとらえる 「老化」現象は、野生生物にはないという。 飼い猫や飼い犬などに、いくらかその短い老化期間を観察することはあるかもしれないが 一般に野生状態おいては、死と老化はほとんど同時に訪れるという。 たとえば、サケは生まれ故郷の川を遡上して産卵した後は、「ほんの数日間で急速に老化して死ぬ」 産卵後、放精後に急激に脳が委縮し、ホル… コメント:0 2024年11月30日 読書 続きを読むread more
83歳のやさしいスパイ ホームの上映会にて 密かに老人ホームに潜入して、依頼人の案件を解決するために働くスパイの話。 スパイであることは当ホームにも伏せられている。 したがって疑いを抱かれないために、私立探偵事務所は高齢の人材を募集する。 応募してきた83歳の老人が、娘同伴で当老人ホームに入居するという設定のもと、スパイに仕立てられる。 虐待、盗み、室内の… コメント:0 2024年11月26日 エッセイ 続きを読むread more