知恵ある友 老人ホームの仲間たち
小規模の老人ホームで(実はこの言葉には抵抗がある)、個性的かつ思いやりに溢れた高齢者たちに出会った。
私ばかりでなく、その出会いを「勉強になった」ともらす人は少なくない。
人生経験をたくさん積んだ人がなお、他人から学ぼうとする心の余裕に打たれる。
昨日は「街道探索」というセミナーが開かれた。
座談の中心である講師もまた、入居者の一人だ。
テーマは奈良の「山の辺の道」
レジュメも道沿いの古墳や神社、寺など、詳細に記された地図を手作りされていた。
無人販売所で1個10円のみかんを買いながら、古代史にどっぷり浸かって、うらうらとした春の日差しを浴びながら歩いたことを思い出す。
講師の人柄で、至って気楽に、雑談もまじえながら歴史談義は盛り上がる。
書道教室、太極拳、上映会など毎日何らかのイベントがある。
参加者ひとりだけのこともあるが、気が向けばのぞいてみる、という自由さが身上だ。
老人ホームは選べても、入居者を選ぶことはできない。
気持ちの良い仲間に恵まれたことは、考える以上にとても幸運なことなのだ。
スタッフの研鑽と日々の努力がそれを支えている。
一昨日はパソコンに異常出来。
それを修復してくれたのは、たまたま居合わせた営業担当の社員だった。
小規模なホームだからこそ、小回りが利いて、規則ずくめでないところが良い。
きれいごとばかりではないだろう、と思う人もあるかもしれない。
ホームの居心地の良さは、スタッフと入居者が共同でつくり上げるものだろう。
兼好法師が友人の条件のひとつとして挙げた「知恵ある友」
それぞれのウィークポイントを補ってくれるのが、それぞれ異なったスキルを身に着けた仲間なのだ。
※ 写真は大テーブルのフラワーアレンジ デルフィニウム
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