「日本独立」を観て
ホームの上映会で2020年公開された邦画「日本独立」を観る。
数日前に「ハリーポッター秘密の部屋」を観て、もはやファンタジーに感情移入できなくなっている自分に気づき、いくらか悲哀を覚えたのだったが
言い尽くされた感のある敗戦後のどさくさを今現在どのようにとらえているのか。
GHQによる憲法改正問題が本映画の骨子である。
並行して、吉田満著「戦艦大和ノ最期」から、若い兵たちの当時の葛藤を描いている。
この挿話は現代の叙事詩ともいえる壮大なもの。
一方、憲法改正にともなう日米の対立は、一切の感傷を含まない政治問題なので、このふたつの主題の絡みから、戦争の不条理を浮かび上がらせるのが製作者の意図だったとしたら、必ずしも成功しているとは言い難い。
「戦艦大和ノ最期」は発禁処分にされながらも、小林秀雄らが尽力し出版に至ったのは有名な話だ。
以下に感想文を記しているので、ご覧ください。
https://freeport.seesaa.net/article/200609article_17.html
本映画で感心したのは、小林薫の吉田茂役だ。
特殊メイクの不自然さは全くなく、一体だれが演じているのか分からなかったほどだ。
マッカーサーの議会での証言では、同じ敗戦国でもドイツ人を45歳、日本人を12歳の少年に例える認識が明らかにされる。
戦後79年が経とうとする日本が、未だに主権国家ですらないことを、ことあるたびに意識させられる。
天皇制は、専守防衛をうたっていた平和憲法は、人権への配慮は、民主主義の行方は・・・?
民意が政治に反映されない。
不安と焦燥と羞恥心だけがふくらんでゆく。
この記事へのコメント
同感です。昨今の政治家たちの顔を見るだけで、嫌悪感が増すのです。イギリス・イタリア・日本の三カ国で開発する戦闘機の輸出を国会に諮らず、政府が勝手に決めました。墜落したオスプレイの運航再開といい、民意は無視されるばかりです。日本は未だに独立国家の体をなしていないと思えてなりません。
閣議で政策が決定される今の政治は、戦争中の大陸での暴走を思い起こさせます。
武器輸出三原則は早々に改定されて、大っぴらに輸出が可能になったことに不安を覚えない人はいないでしょう。
民主主義は時間のかかるものですが、そんなに急いで人類はいったいどこに行くのでしょうか…
どんな技術も軍事転用への危険をはらんでいることを考えると、
軍産複合体の政治こそ問わねばならないのに。