SHERLOCK / シャーロック 忌まわしき花嫁




BBC制作のドラマ『SHERLOCK』に特別映像を加えて再編集し、2016年に劇場公開された映画。
ジェレミー・ブレット主演のシャーロック・ホームズは、あくまで原作に忠実であることにこだわったシリーズだった。
ジェレミーのホームズは決定版とされた。
『シャーロック』の方は大胆に翻案された作品で、ジェレミー・ブレットとカンバーバッチを比べることはできない。

スタッフにリクエストしていたのを早速上映してくれた。
日曜日の雨上がりの午後だった。
参加者は私を含め3人だったが、雑談のうちにお一人は年季の入ったミステリファンだということが分かった。

本作は、展開も早く、第二次アフガン戦争後のヴィクトリア朝期のロンドンと現代を目まぐるしく行ったり来たりする。
それに加えてコナン・ドイルの原作及び過去の映像作品へのオマージュや、引用が散りばめられて、まるでジグソーパズルのようだ。
マニアックなシャーロキアンなら食い入るようにして映像の細部に目を凝らすことだろう。

ホームズの兄であるマイクロフトや死んだはずのモリアーティ教授も登場して、再構成されているので、いくらか前作の知識がなければ、理解できないだろう。
しかし、シャーロック・ホームズはジェレミー・ブレットばかりと思っているファンにも、ベネディクト・カンバーバッチのホームズも十分に楽しめる。
孤独癖が強く、自己中心的。頭脳明晰なコカイン常用者というのは同じだ。

本作は、いかにもイギリス人好みの怪奇的な題材である。
シャーロキアンならずともプロットに引き込まれて見終えてしまう。
ベーカー街221Bの居間から惨劇の起こった路上へと場面転換する演劇的仕掛けや映像の工夫が随所に見られて楽しめる。

コナン・ドイルは何と幸せな作家だろう…
量産されて瞬く間に忘れ去られるミステリの中で、そのヒーロー像は愛され続け、何度もリメイクされてきたのだから。

暗い上映室は、いつしかオレンジ色の西日が差し初めていた。
次回は是非、ジェレミー・ブレットのシャーロック・ホームズを、この小さな上映室で、同行の士とともに鑑賞したい。

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