医者が「言わない」こと

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半年以上お留守にしていたブログを再開しようと思いながら、早々にとん挫してしまいました。
術後の体調不良にPCの不調が重なりました。
ブロガーの皆様はお変わりなく更新し続けておられることと思います。

近況報告は、長くなりそうなので、またの機会に譲りましょう。
このページは、再開のご挨拶を兼ねて、近藤誠著『医者が「言わない」こと』の感想文といたします。

近藤誠氏は、ご存じのように放射線医で数々の著作があり、医療に対する批判的論述で知られています。
無用の医療、逆効果の医療について、歯に衣着せず、現実の医療体制や医師の姿勢そのものを否定し去るので、バッシングされることも多いお医者さんです。
読者としても患者としても、極論は慎重に吟味しなければならないのですが、忖度が一般の空気となり、言いたいこともつい婉曲な表現になりがちなところ、強い者に迎合する社会の風潮に反して、風通しを良くしてくれる効果があるようです。

つい爽快さにつられて、著者の主張をそのままうのみにするのは要注意ですが、それよりも現実の不条理に絶望して、検証を怠り、反省もせずに諦めてしまうのが一番よくありません。
私は令和3年に足かけ一年にわたる手術入院&リハビリ入院を経験して、無気力と不健全な精神状態に陥る絶望の恐さを知りました。
山あり谷ありの人生を経てきて、魯迅の言葉にあるように、絶望もまた虚妄である、と気づく境地に至る。
なかでも病は、孤立・孤独に苛まれ、出口なしの状態からの脱出にもがき苦しむことになります。

手術の経過を思い返して、何がいけなかったのか、と問い返す日々が続きました。
突破口は絶無ではないと信じて、わずかの希望にすがりつこうとしました。

医者と患者の関係が必ずしも良くない今日、何が問題なのか…?
医師の働き方改革にメスが入るとのこと。
ベッド数が減少するのではなく、医師と患者が余裕をもって語り合える環境になって欲しいと思います。


※ 医者が「言わない」こと  近藤誠 著  毎日新聞出版(’22.7)

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