近況報告を兼ねて 老人ホーム考
こじんまりした小規模の老人ホームでは、日々起こる出来事がいつの間にか速やかに情報共有されている。
これにはいい面わるい面両方あるのだが、とかくプライバシーを重んじるという美名の下に孤立しがちな高齢者にとっては、案外具合の良い環境なのかもしれない。
住宅型の当ホームは、ほとんどマンション住まいと同様の自由度が保証されるとともに、食事、宅配荷物の受け取り、訪問者の接待、医療相談、介護保険の契約など、煩わしい雑事を引き受けてもらえる。
スタッフは傾聴も仕事のうちと心得ているので、面白くもない話や愚痴にも、耳傾け、にこやかな笑顔で相槌を打ってくれる。
まだ現役の人やライフワークに時間とエネルギーを傾注したい人にとって、好都合な「終の住処」となればありがたい。
そのうち身体の自由が利かなくなった時、どの程度のサービスをどれ位の対価で賄うことができるのか。
まだ空室のある当ホームは営業も苦戦を強いられているようだ。
残っている広い間取りの部屋は、入居金、月々の管理費も高くなる。
これだけの入居金を支払って、購入するのは「利用権」という名の終身の居住権であって、自分のものになるわけではない。
住宅型なので、あまりにも手がかかるようになったら、追い出される?かもしれないのだ。
入居当初ここを終の住処と思い定めた人には災難である。
老人ホームへの将来の入居を検討し始めて気づいたのは、それがひとつの投資だということだった。
身内に迷惑をかけたくないという人が増えているが、入居しても社会とのつながりが切れるわけではないので、家族や友人との交流を、今まで以上に密にしていく必要があると思う。
南面する個室は、プライバシーが確保されているが、どこか、長屋住まいのような気楽さもある。
昨夕食後、プロヴァンスの旅から帰った隣人にワインのご相伴に与った。
パリの物価の高いこと、イタリアと比べてもやはりフランスの美しさ、センスの良さは想像に余りある。
同行者がパスポートを無くしてからの顛末。大使館で再発行の手続きをした後、荷物のなかに発見した話など、熱心な語り手の口調からすれば異国の地でのトラブルもまたご愛敬である。
いいことも悪いことも、様々な経験は、実は同列に並んでいるのであって、決して不都合ばかりでない。
そこに新しい発見があったりする。
滞在期間が長引いたり、飛行機の搭乗券を買い直したり、思いがけない出費を余儀なくされるが。
彼女の商売柄と食い意地のはった当方の趣味が一致して、料理の話は尽きることがない。
お土産の、フランス産チーズ(サン=テクネール)とシナモンなど香辛料の入ったフルーツケーキを賞味。
窓の外はとっぷりと暮れて、夜は深々と更けてゆく。
酒のみにはまだ宵の口といった時間帯かもしれないけれど、そう書きたくなる夕べだった。
ピエモンテ産のワインにほろ酔い気分になる。
こういう親密な時間を持てるのも、たまたま隣り合わせに住まいすることになった幸せであろう。
ある会合で、この歳になるとなかなか新しい友をつくることができない、という不満を耳にした。
老人ホームは、気の合う友人を見つける機会になるかもしれない。
兼好法師は「友とするに悪きもの、七つあり」として、そのうちの二つに「若き人」と「病なく身強き人」をあげている。
彼はリアリストであった。
経験知の高さが、友達がいのある関係を育ててくれる。
これにはいい面わるい面両方あるのだが、とかくプライバシーを重んじるという美名の下に孤立しがちな高齢者にとっては、案外具合の良い環境なのかもしれない。
住宅型の当ホームは、ほとんどマンション住まいと同様の自由度が保証されるとともに、食事、宅配荷物の受け取り、訪問者の接待、医療相談、介護保険の契約など、煩わしい雑事を引き受けてもらえる。
スタッフは傾聴も仕事のうちと心得ているので、面白くもない話や愚痴にも、耳傾け、にこやかな笑顔で相槌を打ってくれる。
まだ現役の人やライフワークに時間とエネルギーを傾注したい人にとって、好都合な「終の住処」となればありがたい。
そのうち身体の自由が利かなくなった時、どの程度のサービスをどれ位の対価で賄うことができるのか。
まだ空室のある当ホームは営業も苦戦を強いられているようだ。
残っている広い間取りの部屋は、入居金、月々の管理費も高くなる。
これだけの入居金を支払って、購入するのは「利用権」という名の終身の居住権であって、自分のものになるわけではない。
住宅型なので、あまりにも手がかかるようになったら、追い出される?かもしれないのだ。
入居当初ここを終の住処と思い定めた人には災難である。
老人ホームへの将来の入居を検討し始めて気づいたのは、それがひとつの投資だということだった。
身内に迷惑をかけたくないという人が増えているが、入居しても社会とのつながりが切れるわけではないので、家族や友人との交流を、今まで以上に密にしていく必要があると思う。
南面する個室は、プライバシーが確保されているが、どこか、長屋住まいのような気楽さもある。
昨夕食後、プロヴァンスの旅から帰った隣人にワインのご相伴に与った。
パリの物価の高いこと、イタリアと比べてもやはりフランスの美しさ、センスの良さは想像に余りある。
同行者がパスポートを無くしてからの顛末。大使館で再発行の手続きをした後、荷物のなかに発見した話など、熱心な語り手の口調からすれば異国の地でのトラブルもまたご愛敬である。
いいことも悪いことも、様々な経験は、実は同列に並んでいるのであって、決して不都合ばかりでない。
そこに新しい発見があったりする。
滞在期間が長引いたり、飛行機の搭乗券を買い直したり、思いがけない出費を余儀なくされるが。
彼女の商売柄と食い意地のはった当方の趣味が一致して、料理の話は尽きることがない。
お土産の、フランス産チーズ(サン=テクネール)とシナモンなど香辛料の入ったフルーツケーキを賞味。
窓の外はとっぷりと暮れて、夜は深々と更けてゆく。
酒のみにはまだ宵の口といった時間帯かもしれないけれど、そう書きたくなる夕べだった。
ピエモンテ産のワインにほろ酔い気分になる。
こういう親密な時間を持てるのも、たまたま隣り合わせに住まいすることになった幸せであろう。
ある会合で、この歳になるとなかなか新しい友をつくることができない、という不満を耳にした。
老人ホームは、気の合う友人を見つける機会になるかもしれない。
兼好法師は「友とするに悪きもの、七つあり」として、そのうちの二つに「若き人」と「病なく身強き人」をあげている。
彼はリアリストであった。
経験知の高さが、友達がいのある関係を育ててくれる。
この記事へのコメント
貴女の最新ブログを今日覗いたら もうSeesaaに引っ越していますね。特に戸惑ったりしませんでしたか? Yahoo!とソニーに続きKDDI傘下のウェブリブログもブログサービスから撤退する理由は何か調べていますが ブログ広告で儲からなくなったからではないでしょうか? その背景として個人が投稿するメディアの中心がブログからSNSに移りつつあることもあるのではと愚考しています。