只今、ホームに帰ってきました

昨日ホームへ帰還。
「お母さまは?」
スタッフに聞かれたが、母は最初からホームへ入る気などさらさらない。
「ここは私の家です!」
と、この時ばかりは語気強く、自己主張する。
妹と私は顔を見合わせて、その勢いに思わず笑ってしまうのだった。
確かに集合住宅のホームと比べれば、地面に「足の着いた」家は秋になると虫の音に包囲されて
リーリー、りんりん、・・・大合唱である。
何とも言えない。
自然に包まれている。
住み慣れた土地で最後まで暮らすとは・・・?
行政は高齢者の処遇についてその方針を打ち出し、介護保険も居宅介護に舵を切ったのだった。
週に4日、母を気持ちよくデイサービスに送り出すのはなかなか容易ではない。
行きたがらないのはどこの家も同じようだが、帰って来れば至極機嫌よく、にこにこしている。
忘れっぽくなったとはいえ、95歳で大腿骨骨折の手術をした母は、歩行器を使い屋内を移動し、耳は遠くなってもふつうに意思疎通ができる。
食は年相応に細くなったが、食欲は旺盛で、果物など好きなものは私よりよく食べる。
つつがなく暮らしていることを確認し私はホームに帰ってきた。
今日はホームのダイニングでコンサートが開かれた。
ろくでなし、オーシャンゼリゼ、越路吹雪のナンバーから、サントワマミー、愛の讃歌などのシャンソンや夜のタンゴ、雨模様のお天気にちなみシェルブールの雨傘、オーバー・ザ・レインボー、映画音楽から最近リメイクされたウェスト・サイド・ストーリーのメドレー。歌謡曲からもイヨマンテの夜、ロックバージョンの天城越え、・・・etc.
盛りだくさんの内容だった。
夜になると、涙が出て、しくしく泣いているの
と、母が子供のようなことを言って笑わせた。
これだけ愛の歌が溢れている世の中と、だれでもいつかおさらばしなくちゃいけないのだ。
そう思うと、老年の心理が胸にしみる。

10/9 ブナの葉はプリザーブドフラワーだそうだ。
フェイクの秋らしさに騙される。


エレベーターホールにはスタッフが花を活ける。

10/10 by Soleil Music
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