近況報告を兼ねて、老人ホーム考

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エレベーターホールでばったり、隣室のMさんに遭遇。京土産に「みなづき」を頂いて、ホームのお仲間、スタッフ、家族の無病息災を祈りながら食べる。

「ここへ帰って来るとほっとします」
というMさん。
私も帰ってくるたびに同じ感想を抱く。

私が60代でこちらのホームへの入居を決めたのは、実は出来心ともいえる偶然からだった。
老人ホーム紹介所に当方の条件を伝え、5か所をリストアップしてもらった。
担当者と2番目のホーム見学の折
「近くに食事の美味しいところがあるんですが」
と言われ、見学だけならばと、好奇心からごく気軽な気持ちで、本命の次に立ち寄った。
建物の玄関前は、造園の最中で、家具もまだ入っていなかった。
眺望の良い高台にありながら、駅から6分の好立地。
その後数回訪れることになるのだが、試食に提供されるお料理は、想像以上だった。
こちらの料理長は、グループ企業内でも筆頭の腕前とか。

入居される方はまずファサードの植込みの設えに魅了されるらしい。
その点、私は造園中の雑然とした様子を知っていたので、惑わされることはなかったと思う。
比較的あっさりと契約したのは、女性スタッフがいきいきと立ち働いている姿に共感したからかもしれない。
入居後、退去された方もおり、スタッフにも少なからぬ異動があった。
私自身も、思いがけず入院することになり、半分以上は留守にした。
一時は引き払うことも真剣に考えた。
しかし、それを思いとどまらせたのは、望んで必ずしも得られる保証のない、素敵なお仲間に出会えたことが大きかった。
飾り気のない人柄、屈託なく他者を思いやる心、…

元気なうちだからこそ、あちこち見学し、まるで小旅行のように体験入居もしてきた。
切羽詰って入居する施設は、自分の意思が反映されない。
「施設のカラーは同じ系列でも入居者によって決定される」という他ホームのスタッフの話を思い出した。
組織がしっかりしていることは基本だが、最前衛のスタッフの適性と教育は大切だ。
人を見て、私はこのホームを選んだと言えるだろう。



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2022.6.30

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「水無月」の「無」は連体助詞「な」からきている。
「水の無い月」ではなく、田んぼに水を引く「水の月」
季節を表す美しい言葉に恵まれた日本語
酷暑に見舞われ、いつかその文化も有名無実化するのだろうか…

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