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「次の手術」に備えて、リハビリの欠かせない毎日だ。
リハビリといっても、自然体で、できれば楽しく実行したいと思う。
でなければ続かない。

リハビリに限らず、日々軽い運動を日課に組み込み、習慣となればしめたもの。
ホームの入居者であるOさんから、「大村典子のイキイキ音楽体操」というのを教えられ、CDを聞いてみた。
Oさん自身の制作によるもので、現在百歳を越えるというお母さまが、音楽が流れだすと表情までいきいきとしてきて、楽しんで体を動かすことができたという実体験から思いつかれたという。
童謡、唱歌から民謡まで、ポップス調、ゴスペル風、ボサノバ、ロックなどに、懐かしい曲を乗りよくアレンジしている。
(編曲は、看護大学校で教えていたOさんらしく、学生たちに担当させたそうだ)
Oさんは音楽の専門家だけれど、CDの制作にあたっては、体操についても熱心に学んだあとがうかがえる。

最初は曲のスピードが少し早いかな、という印象を抱いたが、体操のトークガイドが付いていて、それに合わせてみると動きはゆったりと無理のないものになっている。
曲にかぶったOさんの声は、そのはりと持ち前の滑舌の良さで、音楽体操に活気を与え、パワーを注入してくれるようだ。

Oさんはもともとヴィヴァルディの研究で認められた人だ。
それも人物研究ではなく、作曲法などのマニアックで専門性の高いものだ。
その後、ピアノ教育に携わるが、研究者が教育者に転ずる、その柔軟性に何よりも感心させられる。
それも、稽古の嫌いな子に、いかに楽しくピアノを学ばせるか、という視点をもって取り組まれたところに、Oさんの人柄を感じる。

その後、Oさんの著作を読んで、お母さまのオープンでおおらかな教育法が、実を結んだ実例をみるような思いがした。
冒頭の著作は、脊髄カリエスを患ったことがあるというOさんの「闘病記」として分類されることもある本だが、教育一般に示唆するところが大きい。

人生に選択肢は無限にあるようにも思えるが、適性、天性がいかんなく発揮できる場を見つけられた人は幸せだ。
Oさんは今日も、お母さまの老人ホームに向かう。
そのきびきとした足取りには迷いがない。


※ お母さん、ノリコ平気よ!  大村典子 著  草思社(’92.4)


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典子のハートフル・コミュニケーション  大村典子 著  
                  音楽之友社(’00.2)