映画「ミッドウェイ」を観て

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コロナ禍のなかで、映画館や美術館に行く習慣をすっかりなくしてしまったので、居ながらにして楽しめる上映会はありがたい。
ホームで、以前からスタッフにリクエストしていた「ミッドウェイ」が上映された。

日米公平に描かれている、と定評のある本作品。
映画的には、VFXを駆使した航空戦のリアリズムに圧倒された。
映像の面白さを存分に堪能させてくれる。
戦後75年以上が経ち、映像のみで知られる太平洋戦争が、実際行われたということ自体、今では非現実的な感じがするくらいだ。

ミッドウェイ海戦は、それまで戦力で勝っていた日本が、敗戦への道に転じるきっかけとなった重要な戦闘だった。
これからずるずると酸鼻な敗走を続け、ついに無条件降伏することになった史実から、まず私たちは、戦争をはじめてはいけない、という教訓を導き出す。
つい先ごろ亡くなった、昭和史研究の半藤一利の言葉でもある。
タカ派と言われた政治家でも戦争を体験した人間ならば、はじめるのは簡単でも終えるのは難しい戦争というものの実態を知悉していたからこそ、一触即発の政治局面で慎重に行動したものだ。

物量で勝るアメリカに対して持久戦で臨めば負けるのは必至である。
しかし、奇襲戦で有利につき、敵国から譲歩を引き出そうという考えは甘かったと言わざるを得ない。
たった3日間の戦いは、大型空母4隻の損失を持って、戦場を離脱することになった。
戦争には錯誤と偶然が重なり、当初構想したシナリオ通りに進行しないのはあり得ることだが、本作戦においては、日本海軍の暗号がアメリカによって解読されていたことが大きな敗因だったとはよくいわれることである。
本作戦で中心となった南雲中将率いる第一機動部隊は、様々な点で当時世界最強の実力を評価されている。
当時の日本軍がアメリカよりはるかに優勢であり、非常に恐れられていたということが、今の私たちには不思議でさえあるのだが。

ゼロ戦の活躍を見れば、日本の技術力の高さ、パイロットの血のにじむような訓練の結果、…etc.これらが戦争ではなく、平和のために使われたなら、と考えてしまう。
戦争はリアルに描けば、とても映像化できないだろう。
ただ海空戦のみが、華々しい死を抽象化して、観る者に矛盾した感情を引き起こす。
戦争は、組織として動くことの究極の合理性を知らしめ、同時に危険を喚起する。

スタッフの一人は叔父さんが空母加賀に乗艦していたそうだ。
加賀は一昨年、ミッドウェイ環礁の深海から船体の一部が発見され話題になった。
翌朝、特攻隊の生き残りであるY氏に映画の感想を伺うと
アメリカ側の映画だから、理解できないところもありますね
ということだった。
直接体験者の話を聞く時間はあとわずかしか残されていない。



この記事へのコメント

ワトソン
2021年02月23日 21:24
「日本のおかげでアジアの諸国はすべて独立した。日本というお母さんは難産して母体をそこなったが、産まれた子供はすくすくと育っている。今日、東南アジアの諸国民が米英と対等に話ができるのは、いったい誰のおかげであるのか。それは身を殺して仁をなした日本というお母さんがあったためである。十二月八日は、我々にこの重大な思想を示してくれたお母さんが一身を賭して重大決意をされた日である。我々はこの日を忘れてはならない。」
(1957年12月8日、現地の新聞「サイアム・ラット紙」において ) 元タイ首相 ククリックド・プラモード
 以上、引用です。私はノーコメントです。
2021年03月12日 15:32
ワトソンさん、ありがとうございます。
日本の占領をよきことと捉える人もいます。
結果的に植民地経営が赤字だったとしても、その根本に侵略思想がありました。
略奪経済の背後には必ず犠牲者がいます。

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