母と暮らせば

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金曜日のレイトショーで「母と暮せば」を観た。
テレビ放映もされているのだが、私は観ていなかった。
井上ひさしが構想した「戦後命の三部作」のひとつ、原爆が投下された長崎を舞台にしたものだ。
映画化された「母と暮せば」は、山田洋次監督が井上ひさしにささげたオマージュである。

原爆で死んだ息子が現れ、まるで生きているかのように母と対話する。
親密な台詞劇はキャスティングもさることながら、脚本の出来が成否をわける。
吉永小百合と二宮和也の会話から、何度も笠智衆と原節子のそれを思い出した。
小津安二郎の「東京物語」もしくは「麦秋」の…

それが原爆で死んだ息子との交流となれば、この世とあの世を繋ぐ橋のかそけさが胸を打つ。
日常の坦々とした会話に、さりげなく情意を込める小津調のスクリーンが蘇った。
そこに、死という断絶を持ち込むことで、世界は一変する。
どちらも「反戦映画」になっている。
ささやかで、ありふれた平和な日常を描けば、それでもう反戦映画なのだと思う。
陰惨で酸鼻を極めた戦場や空襲や原爆投下を映さなくても、私たちが守らなくてはいけない世界のかけがえのなさが、観客に実感されればそれでよい。
美しいものだけが万人を説得する。
自然な演技を尊ぶ演出もそれにかなっている。
吉永小百合がよかった。

その夜はいつもより参加者が多く、とはいっても4人だけだが。
集団疎開を経験しているKさんが、眼鏡を外してそっと涙をぬぐっている姿が目に入った。
薄闇のなかで各人が、家族や平和について考え、今一番大切にすべきことを肝に銘じたかもしれない。

すべての映画は恋愛映画である、と言った人がいる。
だれだったか、もう忘れたけれど、それに倣えば、すべての映画は反戦映画である。




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