ヤマアジサイの径をゆく
終日雨の降り続いた一日が明けて、アジサイ園を訪れた。
隣接する遊園地は休園日。
独行のカメラマン以外は人影もまばらだった。
「あじさい祭り」はまだ始まって間なく、この日の訪問者は、早咲きのヤマアジサイが目当てかと思われた。
等身大のフィギュアが物憂げに人待ち顔で佇んでいる。
百年以上の時を経た回転木馬は、往年の賑わいを秘め、今まさにその思い出を語り始めようとしている。
鳥の声と水音のほかは、数人のアジサイ見物客を乗せた模型列車が行き過ぎる時、運転手の案内の声が聞こえてくるばかりだ。
子どもたちの声のしない遊園地は、いつか花と緑の異空間へと変貌していた。
ヤマアジサイは園芸種に比べて華やかさには欠けるが、繊細な気品と滋味が人を引き付ける。
いつまでも眺めていたくなる花・・・
雨降りの季節は人を内省的にさせて、それがアジサイの風情にまたぴったりなのだ。
「エンドレスサマー」の青い大輪が、「終わらない夏」のはじまりを告げていた。
カルーセルエルドラド(1907)
ドイツの機械技師ヒューゴー・ハッセによって1907年に製作されヨーロッパ各地を巡る。
1911年ニューヨークの行楽地コニーアイランドの遊園地に移され1964年に閉園するまで多くのニューヨーク市民に愛された。
その後解体され倉庫に眠っていたものが復元され、1971年より豊島園で営業が再開される。
アールヌーヴォー様式の豪華絢爛たる回転木馬。
城ヶ崎(ジョウガサキ) 産地:東伊豆
多くの八重咲きの品種のもと。
原木は環境の変化により枯死したと言われる。
エンドレスサマー 園芸種
アメリカから輸入された、四季咲きの品種。
日本では豊島園に初めて植栽された。
夏、熱帯夜の続く土地では四季咲きになりにくいが、丈夫で花持ちがよい。
フラウ ノブコ
青い地に白の覆輪が入るテマリ咲きの花。
海老原廣氏が平成2年に種苗登録。
育種家の遊歩道「えびはらさんのあじさい」
海老原廣氏は国際園芸博覧会等で金賞を受賞するなど、アジサイの育種家。
ラブユーキッス
白地に赤の覆輪 ガク咲きの大輪の花。
谷田部園芸が平成9年に種苗登録。
オランダ、世界園芸博覧会2002年金賞受賞。
アナベル
カシワバアジサイと同様、アメリカのアジサイ。
旧枝咲きのアジサイと違い、新梢咲きなので、春3月に剪定しても花を咲かせる。
パリ 来歴:ドイツ連邦共和国
明紫赤のテマリ咲きの花。
平成14年にラーパの名で種苗登録されている。
土壌にかかわらず赤く咲く。
山あじさいの小道
雪化粧 産地:愛媛県
白い散り斑が入る。
7~8月に、白い円錐花序をつける。
クレナイ
伊予の薄墨 産地:愛媛県
濃い紺色のガク咲きの花。
色はコンから黒紫に変わる。
白鳥 産地:富士山周辺
白い星型八重の半テマリ咲きの花。
両性花も小さな八重咲きとなる。
桃花ヤマアジサイ 産地:静岡県
装飾花は桃色、両性花は白いガク咲き。
土壌にかかわらず桃色に咲く。
深山八重紫 産地:京都府
花は濃紫、中性土ではピンク色になる。
楊貴妃 産地:九州
濃いめの虹色系のガク咲き。
装飾花は一重の丸弁。
胡蝶の舞 産地:兵庫県
大輪八重の装飾花、両性花は退化傾向。
木沢の光 産地:徳島県
ピンクの細いへら状の八重咲き。
別名、乙女の舞。
九重山(クジュウサン) 産地:九州
赤紫のガク咲きの花。
葉に白い散り斑が入る。
クレナイ 産地:長野県伊那
装飾花は白く咲きはじめ、しだいに濃紅色に変わる。
横浪の月 産地:高知県
土佐織姫とも呼ばれる。
緑のガクの上に青い両性花が美しく映える。
奥多摩小アジサイ
コアジサイとガクウツギとの自然交配種。
和名の由来は奥多摩地方で発見されたことからきている。
別名、チチブアジサイ。
装飾花はなく、両性花は青色ないしピンク色。
モンアソ
魅力は、わずかに底青で濃い桃色に咲いた花。
装飾花が多く両性花に密着するので、花房は半テマリのようになっている。
イワガラミ
こんぺいとう
白覆輪八重咲きで、およそ10弁ほどの花弁を持つ。
土壌によりピンク~青紫に変化する。
乙女心 加茂花菖蒲園育成品種
イワガラミ
ツルアジサイによく似ているが
違うのは周囲の白い装飾花が1枚だけという点。
伊予獅子テマリ
装飾花が密につまった小型のテマリ咲き。
青色でガク片に白斑が入る。
伊予テマリ
淡い桃色で大輪のテマリ咲きの花。
’16.5.31
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