数奇な運命をたどる「青い壺」

有吉佐和子といえば、「花岡青洲の妻」であり、「紀ノ川」であり、「複合汚染」だった。 特別に注目していた作家ではないので、世評に取り上げられるたびに、何となく読んでいた程度だ。 作家自身も自らを大衆小説作家と言わないまでも、ごく普通の読者層を想定していたようだ。 作家の資質や個性を語るエピソードとして、忘れられな…
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患者の孤独 医師の孤独

手術結果が思わしくなく悶々としていたところ、打開策を探るため、他院のセカンド・オピニオンを求めることにした。 セカンド・オピニオンについては、すでに手術は済んでいるので、有効な治療なりアドバイスが受けられるものか、あまり期待できないような気もしていた。 執刀医のプライドを損ねることなくスムーズに応じてもらえるかどうかも心配だった。 …
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死なれちゃったあとで

コロナ禍で通夜や告別式に親しい人も呼べず、十分な別れの儀式をできなかった無念の思いを抱えている人が少なからずいることだろう。 ホームのダイニングでいつも朝の挨拶を交わすKさん。 上は涼しげな淡色のブラウス、ボトムに黒のパンツスタイルだ。 神式のお葬式があるそうだ。 冠婚葬祭もコロナ以前にもどりつつあるのか… …
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私のナラティブ

私自身の物語を紡ぐということ。 それはどういうことなのだろうか、と思う。 どんな意味を持ち、現実の世界とどのように切り結んでいるのだろうか。 廣野由美子著「シンデレラはどこへ行ったのか―少女小説と『ジェイン・エア』」を読みながら これだけ多くの「少女小説」が、逆境にあるなしにかかわらず少女たちを励まし鼓舞する…
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自衛隊もまた靖国というナラティブを必要とするのか             世界8月号より

私にもナラティブが必要だ。 術後の不調等々、困難を乗り越えるために「ナラティブ」というメソッドが有効に思われていた時 「世界8月号」の記事に、タイトルの書評が目に留まった。 「ナラティブ」を自衛隊と靖国神社の関係を表すキーワードに使っている。 主に精神医療面で使われる場合に着目していたのだが、歴史学の上でも「…
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医師との付き合い方

もうあの先生から引き出せることはないのではないか、というのが友人の意見だった。 術後の仕上がりが思わしくなく、何度か手紙まで書いて苦境を訴えたけれど、明快な答えは返ってこなかった。 昨日はその執刀医の診察予約が入っていた。 多忙な医師の限られた診療時間内に、質問事項を要領よく聞きたださねばならない。 医師の専門分野、プライド…
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手術とリハビリ

「自分との闘いです」 と、リハビリの指導を受けている柔道整復師が言う。 手垢のついた言葉は、あまりに当たり前すぎて、虚しい。 この世に生きるだれでもが、意識すると意識しないとにかかわらず、日々「自分との闘い」に明け暮れているのだから。 術後、3年と2か月が経つが、リハビリの成果がみられない。 セカンド・オピニオンを求めて、…
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