ユダヤ人の歴史

ユダヤ人をどのように定義するかは難しい。 宗教、血統、言語、…etc.によって多様に考えられるからだ。 そのユダヤ人を差別迫害してきた歴史が本書に語られる。 現代編ではまだ歴史的に記憶に新しいナチズム、ホロコーストの経緯が述べられて、いったん社会が不安定化するや、差別感情というものが、ユダヤ人を対象に据えると圧倒的…
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二夫にまみえず 「儒教とは何か」

「私はもう結婚できないのです」 韓国より留学していた女性が、離婚していることを打ち明けた上で、そう語った。 30年以上前の話だ。 その頃は、まだまだ儒教的道徳律の縛りがきつかったのだろうか。 彼女がその軛をことさら深く内面化していたのか、儒教文化を説明しようとして少し大げさに言ったのか、よく分からない。 その後…
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旅と読書 「縛られた巨人 南方熊楠の生涯」

南方熊楠の、世間的常識を逸したエピソードの数々は、逆にこの知の巨人の真相を見えなくしているのではないだろうか。 人間の到達し得る「知の極北」とは。 伝記を読んだのも、その境界の一端なりとも伺えれば、と思ったからだ。 ちょうど今、NHKの朝ドラでは、植物学の大家、牧野富太郎の物語が放映中だ。 この二人の生物学の…
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読書日記 ラ・ロシュフコー箴言集

美徳は装おわれた悪徳である この警句から、気難しい批評家を思わない人はいないのではないだろうか。 あまりにも有名な一句は、いうまでもなくラ・ロシュフコーのものだ。 この句を含む「箴言集」を通読してみると、洞察力の深さ、冷徹な観察眼に圧倒される。 ラ・ロシュフコーは17世紀、フランスの王族にも連なる大貴族の…
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医師への質問状

忙しい医師に受診する際、病状についての質問事項をまとめ、予めメモしておくことが大事だ。 対面してからで十分と思うのは間違いで、意外に聞き落しが多いものだ。 診察予約日の4日前、友人からひとつ提案された。 質問事項を含め今の状態を説明する手紙を送っておいてはどうか、というのである。 事前に知らせておけば、医師からスムーズに答え…
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医者が「言わない」こと

半年以上お留守にしていたブログを再開しようと思いながら、早々にとん挫してしまいました。 術後の体調不良にPCの不調が重なりました。 ブロガーの皆様はお変わりなく更新し続けておられることと思います。 近況報告は、長くなりそうなので、またの機会に譲りましょう。 このページは、再開のご挨拶を兼ねて、近藤誠著『医者が「言…
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医師と患者は対等である  岸見一郎 著

股関節の手術後、リハビリに苦戦するうちに、何と2年2か月の年月が瞬くうちに過ぎ去りました。 無気力を脱し、宿命を生きる覚悟(大げさかな?)と諦めの境地を行ったり来たり… 医療制度、医療システムの問題点について考えざるを得ない日々でした。 術後のリハビリが思うような結果を生まず、落ち込みそうになる度に、お世話にな…
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クリスマスが年々早くなる

16時間絶食というのを試した翌朝、リハビリに行く。 短時間の絶食なので、大して辛くはない。 或いは眠りの質が向上したかもしれない、と思うがまだ効果のほどはわからない。 きっかけは養老孟司が、一週間に一度でよいと言っているのをYou Tubeで聞いてから。 将来新たな論文が発表されて、この理屈もいつか陳腐化するか、…
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近況報告を兼ねて 老人ホーム考

こじんまりした小規模の老人ホームでは、日々起こる出来事がいつの間にか速やかに情報共有されている。 これにはいい面わるい面両方あるのだが、とかくプライバシーを重んじるという美名の下に孤立しがちな高齢者にとっては、案外具合の良い環境なのかもしれない。 住宅型の当ホームは、ほとんどマンション住まいと同様の自由度が保証されるとともに、食…
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懐かしい「世界名作の旅」

旅と本は私のなかで一体どこで結びついたのだろう。 朝日選書の「世界名作の旅」、上下二巻それぞれを古本屋二店にネット注文した。 昭和39年11月より朝日新聞日曜版に連載されていた記事をまとめて本にしたものだ。 素晴らしい連載だったので、このように本のかたちで残っているのはうれしい。 すでに文庫本が出版されているので…
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「武器輸出と日本企業」を読んで

ロシアによるウクライナ侵攻後、各国は軍事力強化の方針を打ち出している。 戦争による惨状を目の当たりにしても、軍備縮小について話し合うべきだ、とする意見は今日ではどこにも見当たらない。 そのような主張は、寝言か世迷い事と受け取られるばかりだ。 平和を維持するための抑止力は軍備増強によってのみもたらされるというのが、主流の…
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ファッションの歴史を繙く 「ウィメンズウェア100年史」

  戦前のパリそして保養地の美しさは格別だったらしい。 風景の美しさに相まって、そこに集う有閑階級のとびきりのおしゃれは、今日のカジュアル一辺倒の大衆社会からすれば、めくるめく異世界であったに違いない。 何度もパリに通い服飾の勉強を重ねた、洋装の草分け、故原のぶ子氏の話である。 本書は20世紀より今日までのファッ…
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絵画で読む『失われた時を求めて』

世界一長いといわれる小説を読む気になったのは、リハビリのため転院した病院でのことだ。 3か月の入院生活を「失われた時を求めて」を読んで過ごそうと考えたのだ。 新潮社版の井上究一郎訳である。 一部新訳の岩波文庫版と読み比べてみて、この長大な小説を文庫本で読むのはなにか味気ない気がした。 それもプルーストの息の長い文…
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読書会という幸福

読書会の記録であり、誘いであり、ブックガイド、読書会を成功させるヒント集である。 著者の文章は平易でとても読みやすい。 というのも著者が翻訳家であるからだ。 実際、著者が参加する読書会は、翻訳家が多く、翻訳によって原文の味わいがいかに違ってくるかよくわかる。 課題図書のほとんどが、いわゆる世界名作全集に入っているよう…
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病院にて

「若いでしょう・・・?」 「う~ん、そうでもないわ。たくさんの人に会う仕事だから、よく分かるのよ。 手とか首とか見ると」 なるほどなあ。私は目ばかり見て、医師の華奢な印象にとらわれていたのだ。 ケアマネージャーに付き添われて、4カ月ぶりに執刀医に受診した。 私はOさんのアドバイスに従い、質問事項を絞ってメモしてきていた。 …
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源氏物語を繙くように「マルタの鷹」を精緻に読み解く

「マルタの鷹」は、非常に難解なハードボイルド探偵小説だった。 消化しきれない謎がたくさん残った。 その構成から登場人物の行動及び心理まで、完全に腑に落ちたという感じがしないのだ。 探偵小説なら、事件の犯人、その手口、動機など真相が判明し、最後に大団円を迎える。 ところが「マルタの鷹」はそうはいかない。 予定調和、…
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読めますか? 難読漢字 「孑孑」or「孑孒」?

「大角豆」読めますか? さすが、難読漢字を書きだしてくれたY氏。 「ささげ」だそうです。 「発酵の会」で、発酵食品の味噌を使ったお菓子を頂いた後、皆で難読漢字を片っ端から読んでみました。 読めそうで読めない難読漢字。 頭をひねり、最後はやはりスマホで検索することになりました。 ほとんどが日本流の当て字…
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只今、ホームに帰ってきました

昨日ホームへ帰還。 「お母さまは?」 スタッフに聞かれたが、母は最初からホームへ入る気などさらさらない。 「ここは私の家です!」 と、この時ばかりは語気強く、自己主張する。 妹と私は顔を見合わせて、その勢いに思わず笑ってしまうのだった。 確かに集合住宅のホームと比べれば、地面に「足の着いた」家は秋になると虫の音に…
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現代史を読む 「首都復興ならず」「アパレル興亡」

戦後から今日に至る現代史を、都市計画とアパレル産業の盛衰を通して概観することになった。 前者は「東京復興ならず 文化首都構想の挫折と戦後日本」 スクラップ&ビルドを目まぐるしく繰り返してきた東京の姿を、経済と文化志向の対立軸から検証する。 著者は「おまつりドクトリン」の一語をもって、戦後の復興が、文化よりも経済成長に軸…
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人生100年時代

「人生100年時代」と言われてもピンとこなかった。 ホームを訪ねてくる人に「老人ホームって、老人でなくても入れるのですか」と聞かれたこともある。 私自身も老人ホームという言葉は現状に見あっていないし、印象もよくないので、言い方を変えるべきではないか、とホーム長と話したことがあった。 私の今住んでいるホームには…
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マルタの鷹 アンダーステイトメントとは

ハードボイルドミステリ「マルタの鷹」は、秋の夜長に、じっくりと小説を読む楽しさを存分に味わわせてくれる。 著者のダシール・ハメット自身は、自作の中では「ガラスの鍵」を最も気に入っていた、とされている。 「マルタの鷹」は、ハンフリー・ボガード主演、ジョン・ヒューストン監督で映画化されており、あるいはそちらの方でよ…
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忘れえぬ人々

なかなか自由に外出できない身になってみると、ちょっとした誘いにも躊躇する自分が情けない。 何と友達がいのないことだろう。 不甲斐なく感じながら、会いたい人の顔を思い出すことがある。 そういえば「思い出す人々」という本があった。 内田魯庵の著作だが、国木田独歩の「忘れえぬ人々」と混同していて、念頭にあったのは後…
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近況報告 手術をふりかえって

診察室に入るなり、H先生がパソコンの画像を観ながら、頭を抱え込んでいる姿が目に入った。 「〇〇さん、これは難しい手術だよ~」 私の方が、未だ痛みもなかったので、平静に受け止めていたように思う。 H先生は、亡くなられたY先生のあとをついで、ことの流れで私を診るようになっていたのだが、これまでの経緯をすっかり知っているわけ…
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藁布団の話

今季の暑さは殊に異常だったようだ。 「ようだ」と言うのは、運動はもっぱら館内廊下を歩くにとどめ、ほとんど外歩きをしなかったからなのだが。 それでも汗かきの私は、20分も歩くと、背中をツツーと汗がしたたり落ちる。 シーツの頻繁な洗濯は欠かせない。 そこで、肌に直接触れるベッドパッドに、麻製品を買い求めた。 中ワタ…
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エリザベス女王の死に臨んで

エリザベス女王が8日夕刻、死去された。 96歳という高齢でありながら公務をこなす姿に、誰もが敬意を覚えていたことだろう。 滞在先のスコットランドはバルモラル城で、穏やかに迎えた最期だったという。 英国の人々の喪失感は、察するに余りある。 エリザベス女王の死によって、英国王室の求心力の失墜は免れ得まい。 振り…
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バブル世代回想

「あの人、(大手町の)本社から自宅のある長野まで、タクシーで帰っちゃうんですよ。上司のことは言いたくないんだけど・・・」 そういうSさんは、出社前にはすべてのコンセントを抜いてから家を出るという。 プリペイドカードには三千円以上チャージしない。 現金も三千円以上は持ち歩かない。 なるほどSさんとバブル世代はそこまで違うのか…
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生物から見た世界

夕食後は、ダイニングに腰を据え、本を読むなり新聞に目を通すなりして、小一時間を過ごすことにしている。 6時半を過ぎると、おやすみなさいの挨拶を交わして、ほとんど自室に引き上げてしまうので、ホームの夜はとても静かで長い。 サッシで遮られているはずなのに、どこからか虫の音が密やかに忍びこむ。 耳を傾けると大合唱にまで高…
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モード後の世界

そろそろおしゃれを楽しむ季節が近づいてきたというのに、服が売れない、という。 流行がないから、何を着ても自由だから・・・と。 断捨離が提唱され、一度モノを捨てると、今度買うのを控えるようになるのは当然だ。 もの選びに慎重になる。 白洲正子は晩年に、おしゃれは虚栄よ、と喝破した。 あんなにおしゃれだった人が、…
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京都の夏 グルメツアー 鱧料理

京都の夏のお料理といえば鱧。 関東ではあまり好まれる食材ではないのか、家庭でも一般に食卓に上ることは少ない。 で、鱧となれば京都、という、土地と食材が一体化したイメージがある。 東京の人間は夏だから鱧を食べよう、という気にはならないのだ。 春ならば筍、夏はイカや太刀魚、冬になれば脂ののった魚が出回る。 海か…
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夏祭りが帰ってきた!

コロナ、ウクライナに翻弄され、熱波に見舞われる地球。 ひとつとして良いニュースがない。 せめて日曜日の夏祭りについて報告して、未来への希望を託そう。 令和一年ホームに入居した年はまだ今のコロナを知らず、夏の祭りは、例年通り賑やかに行われた。 一昨年、昨年とコロナ禍に見舞われ、事態は暗転。 夏祭りは中止とな…
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